「60〜70年代自分好みの音楽史」

Selling England By The Pound

『ジェネシス』Genesis

ビートルズをリアルタイムで聴いていた頃アルバム「Revolvr」に収められた「Love You To (ジョージ ハリソン)」を聴いた時、シタールとタブラの音色が耳の奥底に残った。このアバンギャルドなサウンドが私の「プログレッシブ・ロック」への道を開いたのは間違いない。

その流れのなかでおすすめしたいのが「ジェネシス(Genesis)」が1973年に発表した「Selling England By The Pound」です。

ジェネシスと言うバンド自体については既に数多くの書物があり、熱烈なファンの方々が語り尽くされていますのでここでは敢えて細やかなバンド史歴には触れません。

また個々の演奏技術(ギターワーク、メロトロン·テクニック、ドラム等)を言葉で並べ立てたところで、このアルバム本来の凄さや魅力は伝わりきれない気がします。

このアルバムの魅力は何と言っても【上質なサウンド】【美しく流麗なメロディー(Melodious)】【圧倒的なストーリー性】にあります。このアルバム「Selling England By The Pound」が聞き手を最後まで飽きさせない理由、

それは一曲一曲の楽曲としての完成度が極めて高い上にそれぞれの曲自体がドラマチックなストーリーを抱えているからです。そして何よりも素晴らしいのはそれらの楽曲が集まることで、アルバム全体がひとつの大きな物語(トータルワーク)として結実している点にあります。このアルバムに関しては一曲づつを切り離して解説する必要はないと思います。

なぜならアルバムタイトルである「Selling England By The Pound」 “ポンドでの英国の切り売り” の意味合いからして、冒頭の「Dancing With The Moonlit Knight」へ繋がり、全曲へと物語が紡ぐまれでいきます。そしてこの物語は「The Cinema Show」からラストの「Aisle of Plenty」によって完結します。

1970年代というロック黄金期にジェネシスが創り出したアルバム『Selling England By The Pound』はプログレッシブ・ロックの名の通り『アルバムで音楽を聴く』を教えてくれた逸品なのです。

このジェネシスの立役者であるピーター ガブリエルの独特なパフォーマンスと歌声に拒否感さえ無ければ、是非一度時間をとって聴いてほしい作品です。それは…ひとつの上質な映画や小説を読み終えたかのような余韻に包まれる筈です。

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